前田です。今回は珍しく社長らしい話題です。
ファーエンドテクノロジーでは2017年11月よりフレックスタイム制を導入しました。フレックスタイム制とは始業・終業時刻、日々の労働時間を従業員自身が決定できる制度です。平成31年就労条件総合調査によると5.0%の企業で採用されているそうです(案外少ない)。
フレックスタイム制の従業員にとってのメリットとしては、出退社時間や日々の労働時間を従業員自身が生活の都合や業務の繁閑にあわせて調整できることがよく挙げられます。ファーエンドテクノロジーにおいても従業員におおむね好評で、日々活用されています。
3年近く運用して感じたのは、従業員だけではなく使用者側(会社側)にとってもメリットがあるということです。
一番のメリットは従業員に喜ばれていることです。社内で聞いてみたところ次のような感想がありました。
台風や大雪など荒天時は、安全のために始業時間の繰り下げや就業時間の繰り上げを行うことがありました。フレックスタイム制導入により従業員が各自の判断で遅く出たり早く帰ったりするようになったので会社としての対応が不要になり、管理業務を1つ減らせました。
フレックスタイム制のコアタイム(必ず出社しなければならない時間帯)を当初は設けていたものの、導入翌年の2018年10月に廃止しました。これにより従業員は何時に出退社してもよいことになったので、遅刻と早退の概念がなくなり労務管理が少し簡素化されました。
ファーエンドテクノロジーではイベントへの出展や勉強会への参加のために土曜日に出勤することがあります。土曜日の出勤する場合は事前にほかの日に休日を振り替えていたのですが、この運用が簡単になりました。
土曜日出勤分の休日を適法に振り替えるためには、 週の労働時間が40時間を超えないよう同じ週内の月曜日から金曜日の間で事前に休んでもらう必要がありましたが、これが不便・不評でした。土曜日に出勤する直前の平日は準備などで忙しいことが多い上、社員にとって休める日の選択肢が少なくなるためです。
フレックスタイム制導入により労働時間が週40時間を超えても法的に問題なくなり、4週4日の法定休日を守った上で清算期間(現在は3ヶ月で運用)内の好きな日に休んでもらうとか日々の労働時間を短縮して調整してもらうとかすればよくなったので、従業員は振替休取得時期の自由度が高まり、会社としても労務管理の簡素化につながりました。
フレックスタイム導入前の就業時間が8時30分から17時30分で固定だったときは、例えば朝8時20分にタイムカードに打刻して業務を開始した場合でも、8時30分からの始業として扱っていました。同様の取り扱いを行っている会社は多いと思いますが、厳密に言えばこの場合従業員は10分余計に勤務していることになります。
フレックスタイム制導入により、①1分単位で出退社を管理・集計するようになった ②1日の労働時間を従業員が自由に決めることができるようになった ③日々の労働時間の超過・不足は3ヶ月の清算期間内で調整すればよくなった — という3つの要因により、会社にいるものの超過勤務にカウントされないグレーゾーンの時間をなくすことができました。
なお、弊社では超過勤務(清算期間の3ヶ月間で実労働時間が所定労働時間を超えること)は原則禁止しています(労働時間が若干不足した状態で清算期間を終えるのはOK)。余計に勤務した時間がたまってきたら別の日に労働時間を減らしたり調整休をとるなどの調整をしてもらい、絶対に働き過ぎの状態で清算期間を終えることがないよう各自調整してもらっています。
フレックスタイム制は従業員のメリットが強調されることが多いのですが、使用者側としてもメリットが多くありました。特に、従業員の自主性にまかせて管理を簡素化できることは従業員と使用者双方にとってのメリットではないかと思います。
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