なぜファーエンドテクノロジーはRedmineのクラウドサービスをはじめたの?

ファーエンドテクノロジー株式会社がRedmineのクラウドサービス「My Redmine」を2008年に開始してから10年以上経ちました。2016年からはドイツ発Redmineベースのクラウドサービス「Planio」の日本国内のサポートも行っています。なぜ、ファーエンドテクノロジーはRedmineのクラウドサービスを提供しているのでしょうか。

Redmineとの出会い

ファーエンドテクノロジーは、代表の前田が2008年に設立した会社です。


ファーエンドテクノロジー代表取締役 前田 剛(Redmine開発メンバー(コミッター))

前田がRedmineを使い始めたのは起業よりも少し前、以前勤務していた会社員時代に遡ります。その頃勤務していた会社では、開発チームの責任者を務め、チームのプロジェクトマネジメントを行っていました。開発案件が徐々に増え、エクセルによる管理に限界を感じ、プロジェクトを管理するためのツールがないか探していました。その頃に出会ったツールがオープンソースソフトウェアのプロジェクト管理ツールである「Redmine」でした。2007年頃のことです。Redmineがリリースされて1年後で、当時のバージョンは0.8でした。

その頃、前田が暮らす島根県松江市では、プログラミング言語「Ruby」の生みの親であるまつもとゆきひろ氏が在住していることに着目され、Ruby City Matsue構想が進行。松江市をプログラミング言語である「Ruby」の街としてのPRする取り組みがはじまっていました。

RedmineもこのRubyで作られているオープンソースソフトウェアでした。Rubyで作られているRedmineならば自分でも使いこなせると感じた前田はRedmineの利用をはじめました。機能がまだ荒削りだったオープンソースであるRedmineのバグをつぶしたり、日本語訳をしたりRedmineの開発を仕事とは別に行うようになりました。

実は、Redmineの日本語訳のほとんどはファーエンドテクノロジーの前田が行ったものです。これまで当社エンジニアが開発した不具合修正や新機能のパッチ1000件以上が採用されRedmineに取り込まれています。

Redmineを日本中のすべての人が使うツールとして普及してほしい

使い始めると、Redmineの使い勝手の良さがとても気に入ったという前田。しかし、Redmineはフランス人のJean-Philippe Lang氏が作成したソフトウェアであることから、ネット上に日本語の情報がほとんどありませんでした。前田自身もRedmineの環境構築には苦労したといいます。

Redmineをもっとたくさんの人に知ってもらいたい。同じようにプロジェクト管理で悩んでいる人、困っている人の役立つ情報を発信したいと思うようになり、Redmineに関する情報を集約した「Redmine.JP」を開設し、自身もRedmineに関する記事を公開しはじめました。公開から10年以上たった現在も「[Redmine.JP」は更新し続けていて、たくさんの方にご覧いただいています。


Redmine.JP

東京や大阪ではRedmineのコミュニティ活動も活発に行われています。東京の勉強会redmine.tokyoは人気の勉強会でいつもすぐに満席になります。


Redmineの勉強会redmine.tokyoで講演する前田

ありがたいことに、Redmineのコミュニティから講演の依頼を頂くこともあり、貴重な時間を頂いてRedmineについて発表させて頂いています。発表資料はいつも内容が伝わるように作ることを心がけています。

クラウドで提供すれば喜んでくれる人がいるかもしれない 2008年から「My Redmine」の提供を開始

情報発信を続けるうちに、Redmineがクラウドサービスとして提供されれば面倒な環境構築がなくなり、助かる人が日本にもいるのではないかと思いました。起業して間も無く、Redmineのクラウドサービス「My Redmine」をβ版として公開しました。2008年のことです。公開してすぐに使いたいというお客様が連絡をくださいました。正直、広告や宣伝をまったくしていないのにお問い合わせを頂き嬉しいのと同時に驚きました。β版の公開から1年後に、正式に有料サービスとしての提供を開始しました。2020年7月現在では約800件以上のお客様にご利用頂けるまでになりました。


Redmineのクラウド版サービスMy Redmine

2010年1月1日からは、Redmineの使い方などを解説するRedmine.JP Blogを公開しています。年々バージョンアップしていくRedmineのリリース情報や新機能などを紹介するほか、初心者向けの記事も執筆し公開しています。


Redmine.JP Blog

日本初のRedmine関連書籍を執筆

2008年には日本初のRedmine関連書籍「入門Redmine Linux/Windows対応」を代表取締役の前田が執筆しました。 その後、2年おきに改訂し2016年には「入門Redmine 第5版」執筆しています。My Redmineのご契約者様には契約時に無料でプレゼントしています。

入門Redmine 第5版
前田が執筆した入門 Redmine

代表の前田が日本人2人目となるRedmineのコミッターに

代表の前田は2014年11月2日よりRedmineのコントリビュータになりました。コントリビュータとは、Redmine公式の開発サイト上で、開発されたパッチ(プログラム)をどのバージョンでリリースするのかをセットしたり、解決済みのチケットをクローズしたり権限を持つ役割のことです。世界で16人しかいません。

また、2017年11月から前田はRedmineのコミッターになりました。日本人としては2人目です。コミッターはコントリビュータよりも多くの権限を持ち、直接ソースコードをコミット(ソースコードの更新)できる権限を持っています。

Redmineに貢献してくれるエンジニアのパッチをレビューしたり、評価したりする活動も公式サイト上で行っています。

Redmineやオープンソースへの貢献とは。開発だけではない。

Redmineやオープンソースへの貢献は、エンジニアだけが行うものではありません。利用者であれば、UIの改善を提案してみるとか、Redmineを人に勧めるのも取り組みの一つだと言えます。気軽にRedmineのことを話したり、ネットでつぶやいてほしいと思います。

こんな人が増えると嬉しい

Redmineを改善していくために、Redmineに気になることがあれば、ぜひRedmine公式サイトにチケットを作成して頂きたいです。My Redmineのご利用のお客様であれば、サポート窓口にご意見をお寄せ頂きたいと思います。Redmineの改善に繋がることがあります。チケットを作成したり報告することが面倒な方であれば、TwitterなどSNSでつぶやいてもらうだけでも嬉しいです。ファーエンドテクノロジーも、Redmineの開発を通じ、すべてのRedmineの利用者や弊社クラウドサービスであるMy Redmineのお客様のお役に立ちたいと考えています。

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