Redmineを作っている人々


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by nachans

前田です。今回はオープンソースのプロジェクト管理ツールRedmineの開発体制の話です。

RedmineはJean-Philippe Lang氏を中心に、たくさんの方々の貢献により開発されています。では、何人くらいが活動しているのか、Redmine 3.2.0の実績を分析してみました。

データの収集方法

Redmineの開発はRedmine公式サイトのRedmineで管理されています。機能追加やバグ修正など何らかの変更がRedmineに加えられる場合、原則としては以下の4段階の流れとなります。

  1. チケット作成: 誰かが公式サイトにチケットを作成 (機能要望=Feature バグ報告=Defect)
  2. パッチ作成: 誰か (もしくはチケット作成者) がチケットの内容を実現するためのパッチを書いてチケットに添付 (チケット作成とパッチ添付が同時の場合もあり)
  3. Target version設定: Jean-Philippe Lang氏または16人のContributorのうちの誰かがチケットのtarget version を設定することで、その変更が次期バージョンの新機能・修正の候補の一つとなる
  4. リポジトリへのコミット: コミッターの誰かがチケットに記載された変更をRedmine本体に加える

2015年12月にリリースされたRedmine 3.2.0では85の機能追加や修正が行われました。それぞれの変更には対応するチケットが存在し、その一覧はRedmine公式サイトで確認できます。

これらのチケットから前述の4段階にかかわった人々、具体的には以下に該当する方々を拾い上げて一覧(Excelファイル: issues.xlsx)にまとめました。

チケット作成者

Redmine 3.2.0で採用された85件のチケットは53人が作成していました。意外なことに私が11件で1位でしたが、日本語訳のパッチ6件で数を稼いでいます。

チケットで機能要望やバグ報告を書いたりパッチを送ったりしてもらうのがRedmineの改善のもとになるので、些細なことでも何か気がついたことがあればぜひチケットを作っていただけるとありがたいです。

Redmine 3.2.0 チケット作成者
Create pie charts

パッチ作成者

オープンソースソフトウェアで機能追加やバグ修正が実現するには誰かがコードを書く必要があります。

Redmine 3.2.0の85件のチケットのコードは18人によって書かれました。上位5人で全体の4分の3を占めています。コードを書く人はあまり多くないのがわかります。特に、全体の半数近くの39件をRedmineのオーナーのJean-Philippe Lang氏が書いているのが目立ちます。ほかの人が書いたパッチをJean-Philippeが書き直したものもカウントされていますが、それにしてもJean-Philippeが非常に多くの仕事をしていることがわかります。

パッチを書いてくれる人がもっと増えるとよいなと思います。

Redmine 3.2.0 パッチ作成者
Create pie charts

Target version設定者

Target versionの設定というのは、次期リリースに含めるチケットの候補を選ぶ作業です。Redmine公式サイトにはおよそ4500件の未完了のチケットがあります。これらの中からパッチがほぼ完成しているものや対応が急がれるものを拾い上げ、Target versionを設定することでそのチケットが次期リリースの新機能・修正の候補になります。この一覧は公式サイトのロードマップ画面で参照できます。

Redmine 3.2.0を構成する85件のチケットのTarget versionを設定した人、すなわちチケットを拾い上げて3.2.0に取り込むことを誰が提案・決定したのかを集計したのが以下のグラフです。Target versionを設定する権限をもつ者は17人ですが、3.2.0ではToshi MARUYAMA氏とJean-Philippe Lang氏と私の3人のみでした。

この作業、たくさんのチケットを見て重複・関連するチケットがないか確認してパッチの動作確認をして、場合によっては自分でパッチを作ったりなど、結構時間がかかります。私の場合、最近は週に1件以上Target versionを設定することを目標としています。

次期リリースに含めることができそうなチケットがあれば、そのチケットにコメントなどしていただけるとチケットを探す時間を節約できて助かります。

Redmine 3.2.0 Target Version設定者
Create pie charts

コミット者

コミット権限を持つ者がパッチをRedmineのソースコードに反映しリポジトリにコミットすることで、そのチケットの機能・修正が次期リリースに含まれることが確定します。

コミット権限を持っているのはToshi MARUYAMA氏の資料によると2013年時点では4人のようです。ただ、2014年10月以降はJean-Philippe Lang氏とToshi MARUYAMA氏の2人だけがコミットを行っています。Redmine 3.2においては8割以上の72件のチケットについてのコミットをJean-Philippe Lang氏が行いました。

Redmine 3.2.0 コミット者
Create pie charts

まとめ

Redmineはたくさんの人たちが協力することで開発されています。ただ、パッチ作成者やTarget version設定者のグラフを見ていただくとわかるように、現状ではオーナーであるJean-Philippe Lang氏が非常に多くの役割を担っていて人手が足りてるとは言えない状況です。

個人的には、以下の活動をしてくれる方が増えるとよいなと思っています。


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