呂です。2年前から、友人に教えてもらったのをきっかけに、ポーカーを遊ぶようになりました。
ポーカーは、プレイヤー同士でチップを賭けながら、より強い手を作るか、相手を降ろすことで勝敗を決めるゲームです。カード運の要素もありますが、ベットやフォールドといった判断によって結果が大きく変わるのが特徴です。最近では、日本でも競技としてのポーカーを目にする機会が増えてきたように感じます。
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/ポーカー
最初はボードゲームの延長のような感覚で、あまり深く考えずに遊んでいました。ただ、プレイを重ねるうちに、思っていた以上に“考えること”が多いゲームだと感じるようになりました。
そこで気になったのが、「この判断はどう決まっているのか?」という点です。ポーカーでは、フォールド・コール・ベットといった選択を常に求められます。こうした判断の中でよく出てくるのが「equity(勝率)」という概念です。ただ、ここで一つ疑問が出てきました。
この“勝率”って、どうやって計算されているのか?
本記事ではポーカーそのものの面白さを紹介するというよりも、練習アプリのコードをきっかけに、「意思決定の仕組み」や「確率の考え方」について整理してみたいと思います。
例えば、PyPokerEngine のサンプルコードでは、次のように勝率が使われています。PyPokerEngineはPythonで手軽にポーカーAIを組めるライブラリです。
# examples/players/honest_player.py
win_rate = estimate_hole_card_win_rate(
nb_simulation=1000,
nb_player=self.nb_player,
hole_card=gen_cards(hole_card),
community_card=gen_cards(community_card)
)
if win_rate >= 1.0 / self.nb_player:
action = valid_actions[1] # call
else:
action = valid_actions[0] # fold
出典: https://github.com/ishikota/PyPokerEngine
このコードでは、
という、とてもシンプルなロジックになっています。つまり、
勝率を求めて、それを基準に行動を決めている
という構造が、そのままコードとして表現されています。
では、この win_rate はどのように求められているのでしょうか。コードを追っていくと、意外なことが分かります。
この勝率は、数式で一発計算されているわけではありません。代わりにやっているのは、かなりシンプルな処理です。
つまり、
「もしこの状況を何回も繰り返したら、どれくらい勝つか?」
を実際に試している、ということです。
例えば:
この時点で、すでに5枚のカードが見えています。トランプは全部で52枚なので、残りの未知カードは52 - 5 = 47枚です。
この47枚の中から、
が決まります。
本来であれば、この47枚から考えられるすべての組み合わせを列挙すれば、完全な勝率を計算することができます。
ただし、組み合わせは非常に多くなります。そのため、PyPokerEngine では次のような方法を取っています。
すべてを計算するのではなく、ランダムに何度も試す
これが「モンテカルロ法」と呼ばれる方法です。
例えば:
この場合、
勝率 ≒ 600 / 1000 = 0.6
となります。
調べてみると、勝率の計算は必ずしもランダムなシミュレーションだけで行われているわけではなく、残りのカードのすべての組み合わせを列挙して、正確に求める方法もあるようでした。実際に PokerStove のようなツールでは、こうした組み合わせベースの計算によって、高い精度で勝率を算出できるとのことです。PokerStoveは数学的なアプローチで、膨大な組み合わせの中から正確な勝率(Equity)を導き出すためのツールです。
出典:https://github.com/andrewprock/pokerstove
ただし、この方法は計算量が非常に大きくなるため、状況によっては現実的ではありません。そのため、PokerStove を含む一部のツールでは、全探索ではなくモンテカルロ法による近似計算を選択できる場合もあるようです。
ここまでを見ると、equityの正体はかなりシンプルです。
「今の情報を固定して、未来をランダムに埋めたときの勝率」
です。
この勝率は、それ自体がゴールではなく、あくまで「意思決定の材料」として使われます。例えば、次のような形です。
if equity > 0.6:
raise
→ 勝率が60%以上なら強く出る
if EV > 0:
call
→ 長期的に得ならコールする
ここで重要なのは、「今勝てるか」ではなく「繰り返したときに得か」で判断している点です。つまり、1回の結果ではなく、同じ状況を何度も繰り返したときにどうなるか、という視点で行動が決まっています。勝率(equity)はそのための入力値であり、最終的な判断は期待値(EV)という形で整理されます。
最近では、AIを使った高度な戦略が一般的になっていますが、コードを見て感じたのは、その出発点は非常にシンプルだということでした。
この基本構造は、人間が考えるときのロジックとも大きくは変わりません。AIはこの仕組みをより大量のデータと計算によって繰り返し、精度を高め、戦略として最適化していったものとも言えます。つまり、複雑に見えるAIの判断も、その根底には「確率をもとに意思決定する」というシンプルな構造がある、ということが見えてきます。
正直に言うと、私はまだポーカーに慣れているわけではありません。何を基準に判断すればいいのか、はっきりとした軸を持てているとも言えません。そんな中で見つけたのが、「コードから考える」という方法でした。ポーカーのロジックをコードで見ていくと、そこには感覚ではなく、確率や条件として整理された判断の仕組みがあります。
少し個人的な話になりますが、私は文系出身です。数学がまったく苦手というわけではなく、関数や図形はむしろ好きな方でした。ただ一つ、どうしても苦手意識があったのが「確率」です。どこか曖昧で、つかみどころがなく、ポーカーも「運のゲーム」として距離を置いていました。
ですが、コードとしてロジックを見るようになってから、その裏にある考え方が少しずつ見えるようになってきました。まだ完全に理解できたわけではありませんが、少なくとも「運」で片付けていたものの中に、考える余地があることには気づけた気がします。ポーカーは、直感だけでも、理論だけでも成立しないゲームです。だからこそ、まずはロジックから考えてみる。そして少しずつ、自分なりの判断を積み重ねていく。そのプロセス自体が、このゲームの面白さなのかもしれません。
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