代表の前田にファーエンドテクノロジーとRedmineのことを聞いた

こんにちは。遠藤です。ファーエンドテクノロジーは、今期10期目です。 節目であることと社員も増えてきたので、会社の成り立ちなど社長に話を聞いてみました。

会社の設立と「Ruby City MATSUE」

会社を設立したときのことを教えてください

会社設立の背景に2006年頃、自分の住んでいる松江市ではRubyで産業振興しようとする「Ruby City MATSUE」プロジェクトがはじまりました。Rubyの父である「まつもとゆきひろ」さんが松江市にお住まいであることから、松江市をRubyの街としてブランド化する取り組みです。しまねオープンソースソフトウェア協議会(しまねOSS協議会)が設立されたのもその頃でした。当時、Rubyやオープンソースを推進する勢いを肌で感じていましたので、「Ruby City MATSUE」をきっかけに私もRubyを使いはじめました。

エンジニアとして現場で開発を続けていきたいという思いがあり、2008年に会社を設立しました。今のファーエンドテクノロジーはRedmineの会社というイメージがあると思いますが、設立当初はRedmineが主力事業になるとは考えていませんでした。当時Redmineは世に出て2年くらいのときで、まだそれほど知られていなかったと思います。

2006年(H18) Ruby City MATSUEプロジェクトがはじまる、
Redmine0.1.0リリース
2007年(H19) Redmine.JPを公開
2008年(H20) ファーエンドテクノロジー株式会社設立、My Redmineトライアル開始
2009年(H21) My Redmine正式サービスリリース
2010年(H22) Redmine.JPブログを公開

Redmine.JPウェブサイト

はじめてのRedmine

Redmineをいつから使っているのですか

以前の職場で開発の責任者をしていたのですが、プロジェクト管理をするための良いツールはないかと探していました。2007年の8月頃、色々と試す中、Redmineに辿りつきました。他のツールもある中、Redmineを利用する決め手となったのは、RedmineがRubyで作られているからでした。「Ruby City MATSUE」プロジェクトの影響もありRubyを使用していたので、Rubyで作られているRedmineなら、自分でも扱いやすく理解もでき、自分なりにいじってみても良さそうだと思い使いはじめました。実際に使ってみて「これは良い!」と手応えを感じました。

使いはじめてから、公式サイトであるRedmine.orgにパッチを送ったり、機能要望やバグ報告のチケットを書いたりしました。当時は機能も荒削りでバグもありましたが、自分のパッチや報告によってRedmineがどんどん良くなっていく実感があって楽しかったですね。日本語化されていない部分も多くあったので翻訳をよくやりました。結果、画面の日本語訳のかなりの割合を私がやりました。

2007年10月には、Redmineの情報サイトとして「Redmine.JP」を公開しました。Redmine専門サイトとしてはおそらく初の日本語情報サイトではないかと思います。Redmineに関する日本語の情報はあったのですが、情報が分散していましたので「リンク集的なサイトがあると良いかな」と思い趣味として始めました。

Redmineをビジネスに

2008年に会社を設立した当初、Redmineの知名度は低いにしても、Redmineのクラウドサービスがあれば便利ではと以前から思っていたので、アイディアとしてずっと持っていました。仕事でも使っていましたし、とにかくメール添付でのやりとりが本当にしんどいので、Redmineのクラウドサービスがあれば喜ばれるのではと思っていました。

2008年から1年間、試験運用としてMy Redmineを無料で提供し、百数十社のお客様にご利用いただきました。2009年の9月からは正式サービスをはじめました。試験運用から正式サービスに移っていただいたお客様は数社でした。当時は会社の柱になるようなサービスになるとは思っていませんでした。副収入になればくらいの感覚でした。

My Redmineウェブサイト

Redmineの書籍の執筆

会社設立以降、最も印象に残っていることは

「入門Redmine」というRedmineの入門書を執筆できたことの影響は大きかったと思います。2008年11月頃に出版され、たくさんの方に買っていただけました。Redmineに勢いが少し出はじめたタイミングで、本を出すことができたこともよかったと思っています。出版のおかげで会社の名前をRedmineに結びつけて認識していただく方が増えたのではないかと思います。

これまでに「入門Redmine」を5版まで執筆してきましたが、本を書くことは本当に大変で、いずれの執筆も印象深い出来事として心に残っています。

ファーエンドテクノロジーがRedmineの会社になった日

いつ頃から「My Redmine」が主力のサービスになったのでしょうか

2010年1月1日に始めたRedmine.JP Blogが一つのきっかけだったと思います。すでに運営していたRedmine.JPに加えて、Redmineをさらに広く知ってもらうために始めました。

ちょうどヘルニアで腰を痛めて、実家に帰省もできないし、オフィスにも行けないので自宅でウェブサイトを作ってました。それでお正月からスタートしたんです。動けないので半月くらい毎日のようにブログを更新してました。ブログを公開したら、無料お試しのお申し込みをたくさんいただくようになりました。

Redmine.JPブログ公開以降から徐々にMy Redmineのお客様が増えてきました。2011年には、ほとんどRedmineの仕事だけをやっていたように思いますので、その頃からファーエンドテクノロジーは、Redmineの会社になったように思います。

Redmine.JP Blog

コントリビュータは突然に

どうすればRedmineのコントリビュータになれるのですか

いつの間にか、ですね。(公式サイト上で2014年11月2日より)気づいたらなっていました(※コントリビュータ = Redmine公式サイトでContributorロールの権限を持つメンバー。世界で16人)。

あるとき、日本語訳のパッチを送ろうとしたら、今まで更新できなかったカスタムフィールドが更新できるようになっていました。「これはもしかして権限をもらえたのかな」と理解しました。今に至るまで何も言われていませんが、自分の思う貢献を自由に行っています。

私の考えるコントリビュータとしての貢献とは、たくさんの提案・バグ報告・パッチに目を通して、そこから拾い上げたチケットを「これ次のバージョンに入れようぜ」という提案として、次期バージョンにセットすることです。

ターゲットバージョンをセットする(チケットを次期バージョン向けの機能・修正の一覧に追加する)ことは一般のユーザにはできない仕事です(権限がない)。次期バージョンに取り込めるものがないかと古いチケットも見ています。世界中の人のみんなが作ってくれるチケットを見てレビューしたり、コメントしたりもします。

チケットのクローズもコントリビュータしか権限がない仕事のひとつです。既に実装されているチケットのクローズをしたり、地味な仕事としては、誰かがテストで作ったチケットを消すみたいな細かなこともしています。

これらの活動を、今年は「1日1アクティビティ」を目標として取り組んでいますが、いまのところ達成できています。


Redmine.orgにおける最近の活動

今後Redmineについてどのような活動を予定していますか

機能面は、かなり充実してきたと思います。あとはUIをよくしていきたいですが、なかなか時間もなく注力できないでいます。Redmineをより良くする観点からだと、自分がパッチを書くよりは、みなさんがあげてくれるパッチをチェックして次期バージョンに盛り込むよう調整することが効率的に動ける活動かと思っています。

Planioと提携

ドイツのPlanioとの提携しました

これまで、Redmineを選んで頂けなかったお客様に新しい選択肢を提供できるようになったと思っていますし、Redemineユーザを広げる点でも良いと思っています。

また、企業としてのRedmineへの貢献度は、Planioとファーエンドテクノロジーは大きいと思っています。 サービスを提供をしながらもRedmineに貢献するという社風も、ファーエンドテクノロジーと似ているので良きパートナーと提携ができ一緒に仕事ができていることはとても嬉しいことです。

まとめ

今後、会社をどのようにしていきたいですか

自分がいなくても会社が動くようになると良いと思っています。また、Redmine以外のオープンソースを活用した新しいサービスを生み出していきたいですね。

起業に大切なことはなんでしょうか

起業するとき本当にたくさんの方が応援してくださいました。タイミングもよかったと思っています。2006年にしまねOSS協議会が設立され、毎月開催されるオープンソースサロンにも頻繁に参加していました。それまでは業界内における横のつながりがあまりなかったのですが、たくさんの方と出会うことができました。そのようなご縁で、常駐して開発するお仕事などをいただいたり、そのほかさまざまな応援をしていただきました。本当にたくさんの方にお世話になりました。

もし、「Ruby City MATSUE」プロジェクトや「しまねOSS協議会」がなかったら、ファーエンドテクノロジーはできていなかったと思います。応援してくださる方がたくさんいてくださり、本当に有難かったので「人とのつながり」はとても大切だと思います。

インタビューを終えて

毎日一緒に働いているのですが、インタビューを通じて初めて聞くことも多くありました。ファーエンドテクノロジーがどのような会社なのか、ご興味のある方に少しでも伝わればと思っています。最後までブログをお読み頂き、ありがとうございました。

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