RedMica 2.1(Redmine 5.0互換)と Azure AD で SAML認証 をする方法


My Redmine

こんにちは。習慣として日曜は晩酌をしてたのですが、月曜の朝「出社したくないでござる(リモートが良いでござる)」病の一因であることに気づき始めたので、しばらく日曜の晩酌はやめようと思っています。
先月から週5日勤務に変更した吉岡です。

今回は RedMica stable-2.1(Redmine 5.0互換)で SAML認証をしてみたので、その方法について紹介したいと思います。

環境・事前準備

※ RedMicaのインストール方法については特に触れません。
※ Azureアカウント, Active Directorry はすでに設定済みであることが前提です。作成方法等については特に触れません。

設定手順

AzureAD(Idp)の設定

1. エンタープライズアプリケーションの登録

  1. 独自アプリケーションの作成
  2. 「アプリ名」の入力(任意)
  3. 「ギャラリーに見つからないその他のアプリケーションを統合します (ギャラリー以外)」を選択
  4. 作成

参考:クイックスタート: エンタープライズ アプリケーションを追加する
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/active-directory/manage-apps/add-application-portal

2. シングルサインオン

  1. シングルサインオン方式の選択で「SAML」を選択
  2. 「基本的な SAML 構成」を編集する
  3. 識別子を入力する( http://localhost:3000/auth/saml/metadata を入力する。)
  4. 応答URLを入力する( http://localhost:3000/auth/saml/callback を入力する。以下の設定ファイル config/initializers/saml.rbの assertion_consumer_service_url と合わせる必要がある。)

参考:クイックスタート: エンタープライズ アプリケーションのシングル サインオンを有効にする
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/active-directory/manage-apps/add-application-portal-setup-sso

3. ユーザー作成、アプリケーション割り当て

  1. ユーザーを作成する(作成後、プロパティ > 連絡先情報 > メール に利用するメールアドレスを登録。)
  2. ユーザーとグループにアカウントを登録する

参考:クイックスタート: ユーザー アカウントを作成して割り当てる
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/active-directory/manage-apps/add-application-portal-assign-users

利用準備

ADの準備ができましたら事前にログインしておきます。
また、後ほどプラグインの設定時に以下の値を使用しますので、メモしておきます。

  1. 「拇印」-> idp_cert_fingerprint に使用します。
  2. 「ログイン URL」-> idp_sso_target_url に使用します。
  3. 「ログアウト URL」-> idp_slo_target_url に使用します。

Azure AD シングルサインオン設定画面

RedMica(SP)の設定

Plugin インストール

$ git clone https://github.com/yoshiokaCB/redmine_omniauth_saml.git plugin/redmine_omniauth_saml
$ bundle install
$ rake redmine:plugins

設定ファイル config/initializers/saml.rb を以下を参考に作成します。

sample: config/initializers/saml.rb

Redmine::OmniAuthSAML::Base.configure do |config|
  config.saml = {
    :assertion_consumer_service_url => "http://localhost:3000/auth/saml/callback", # ※1
    :issuer                         => "http://localhost:3000/auth/saml/metadata", # ※1
    :single_logout_service_url      => "http://localhost:3000/auth/saml/sls",      # ※1
    :signout_url                    => "http://localhost:3000/auth/saml/sls",      # ※1
    :idp_sso_target_url             => "https://login.microsoftonline.com/*****/saml2", # Azure AD の「ログイン URL」を使用
    :idp_cert_fingerprint           => "******************",                            # Azure AD の「拇印」を使用
    :name_identifier_format         => "urn:oasis:names:tc:SAML:2.0:nameid-format:persistent",
    :idp_slo_target_url             => "https://login.microsoftonline.com/*****/saml2", # Azure AD の「ログアウト URL」を使用
    :name_identifier_value          => "mail",
      :login => 'extra raw_info http://schemas.xmlsoap.org/ws/2005/05/identity/claims/name',          # ※2
      :mail => 'extra raw_info http://schemas.xmlsoap.org/ws/2005/05/identity/claims/name',           # ※2
      :firstname => 'extra raw_info http://schemas.xmlsoap.org/ws/2005/05/identity/claims/givenname', # ※2
      :lastname => 'extra raw_info http://schemas.xmlsoap.org/ws/2005/05/identity/claims/surname'     # ※2
    }
  }

config.on_login do |omniauth_hash, user| # Implement any hook you want here end end

※1 ドメイン部分(ポート含む)はIdpのアプリケーション登録に合わせて適宜変更してください。
※2 Idpの環境によって適宜変更してください。

ここまで終われば準備完了です。

動作確認

  1. サーバー起動
    $ rails server
    
  2. http://localhost:3000/ にアクセスしまずは初期設定の管理者でログインします。
  3. ログイン後、管理 > プラグイン > 設定 を順にクリックし、の Redmine OmniAuth SAML の設定画面を表示します。
  4. 1,2がチェックされていることを確認します。
    チェックがついてない場合はチェックをつけて適用します。

    プラグイン設定画面
  5. 設定確認が終わりましたらログアウトし、再度ログイン画面に移動します。
  6. 表示後、「Login with SAML」ボタンをクリックします。

    ログイン画面
  7. 自動でログインされれば成功です。
    ログイン中のユーザーが新規に登録されたAzure ADの「ユーザー プリンシパル名」であることを確認してください。

ログイン後の画面(画面右上にログインIDが表示される)

補足

参考までにログイン時の認証方法についてプラグインの仕様を紹介したいと思います。
以下の順に認証をするようになっています。

  1. Azure ADにログインしているユーザーの「ユーザー プリンシパル名」がすでにRedmineのログインIDとして登録されている場合は、そのアカウントでログインされます。
  2. Azure ADにログインしているユーザーのメールアドレスとRedmineに登録されているアカウントのメールアドレスが一致する場合は、そのアカウントでログインします。
  3. 上記1,2でアカウントが存在しない場合、「ユーザー プリンシパル名」をRedmineのログインIDに使用してアカウント作成され、そのアカウントでログインします。

まとめ

以上、今回は、RedMica 2.1(Redmine 5.0互換)と Azure AD で SAML認証 をする方法をご紹介させていただきました。 このようにSAMLを使うことでセキュアで、より便利にRedmineにアクセスすることができそうです。

ただ、今回の検証したプラグインでは、以下のような気になる点があることもわかりました。

認証先(Idp)設定情報の保持方法

認証先(Idp)設定情報を Rails.application.config.middleware.use を利用して設定・保持しているため、認証先の情報を変更する場合、都度アプリケーションの再起動が必要になりそう。
特に問題のないように感じるかもしれませんが、弊社のようにSaaSで提供している場合、設定変更で都度アプリケーションの再起動が実行されるとあまり都合の良くないケースが多く、可能であれば接続情報はDBに保持して、動的に反映できると嬉しい。もちろんセキュリティの面をしっかりと考慮する必要はある。

仕様(機能)の整理

例えば、Idpのログアウト用らしきコードが書かれているのですが、ログアウト用のリンクは実装されてなさそう(見落としてたらごめんなさい)。実際にRedmineで利用するのかどうか含めて検討が必要そう。
また、現状ですと一度Idp経由でRedmineのアカウントを作成した後、Idpのアプリケーション側でユーザーの割り当てを解除しても、設定によってはパスワード認証でログインできた。(かなりのレアケースですが、修正した方が良いかも)

使用しているGemの選定

利用しているライブラリー(Gem)で ruby-saml と omniauth-saml が共存している。どちらも同じく Ruby で SAML認証を行うのに利用するGemですが、両方利用する必要がなるのか要確認する。(なるべく余分なものは入れたくない。管理物は減らしたい。)
ruby-saml のみでSAML認証が簡単にできるため、そちらをベースに一からプラグインを作成するのが良さそう。

最後に

と言うことで現在、RedmineでSAML認証できるプラグインを絶賛開発中です。 乞うご期待ください!

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