翻訳作業から学んだこと ー 日本語と英語の表現の違いに気づいて


My Redmine

呂です。最近、My Redmineの海外向けサービス「My Redmine Global Edition」のWebサイト構築に携わっており、コンテンツの翻訳が主な業務になっています。既存のMy Redmine JP Editionの内容をもとに、サービスの仕様や機能説明、会社紹介などを日本語から英語に切り替える作業が中心です。一から英文を作るわけではないので、比較的スムーズに進められています。


My Redmine Global EditionのWebサイト

ChatGPTを活用

翻訳作業には、最近話題のChatGPTを参考にしています。マニュアルの文章は、操作手順を説明する内容が多く、言語を変えても大きなズレが生じることはほとんどありません。そのため、まずChatGPTに翻訳を依頼し、その後、自分で少し手を加えることで完成させています。

一方、サービスの紹介文のような主観的な表現が多い内容では、全体的なスタイルを統一するために、まず自分で英訳を行い、その後ChatGPTに修正を依頼するという流れを取っています。

例えば、次のような文を翻訳する場合:

My Redmineは、プロジェクト管理・タスク管理のオープンソースソフトウェア「Redmine」をクラウドで利用できるサービスです。

私は「簡単な英語しかわからない」「文法に自信がない」「綴りが不安」という心配をせず、自分で文章を考えることが最も大事だと思っています。そこで、以下の英文を自分で作成しました:

My Redmine is a cloud servise designed for the open source software "Redmine", used for project and task management.

その後、この英文をChatGPTに修正してもらうと、次のように返ってきました:

My Redmine is a cloud service designed for the open-source software Redmine, used for project and task management.

ちなみに、元の日本語の文を直接翻訳してもらうと、以下の内容が返ってきました:

My Redmine is a service that allows you to use the open-source project and task management software Redmine in the cloud.

強調するポイントが若干異なりますが、どちらも意図はしっかり伝わっています。文章全体の意味を理解した上で、最も適切な表現を選んで最終的な文章を作り上げています。

受動態と能動態

このように翻訳作業を進める中で、一つ面白い発見がありました。

Redmine.JPの紹介文を英語に訳す際に、次のような翻訳が考えられます

日本語:

Redmine.JPは、会社設立前に前田剛社長によって立ち上げられ、10年以上にわたりRedmineに関する豊富な日本語情報を提供し続けています。

英語:

The website was established by our Representative Director Go Maeda before the company was founded, and for over a decade, it has continuously provided rich Japanese-language information about Redmine. 

この文章は特に不自然なところはなく、流暢な英語に見えます。

しかし、この英文をChatGPTに修正してもらうと、次のような文章が返ってきました:

Our Representative Director, Go Maeda, established the website before the company was founded, and for over a decade, it has continuously offered a wealth of Japanese-language resources on Redmine.

ちょっとした修正ではなく、文の構造が変えられているようです。「どちらがより自然に聞こえますか」と聞いてみたところ、次のような回答が返ってきました。

「英語では能動態の方が一般的に好まれるため、読みやすさが向上しています。」というのがポイントですね。この他にも、主語の位置が調整されたり、受動態の文が能動態に修正されることが多いことに気づきました。

私が中国の大学で日本語を学んでいた時、特に「受け身」表現が非常に重視されていたことを思い出します。中国語と英語では、受動態の使用基準や場面が似ているように感じますが、日本語には独特な受け身表現が多く存在します。そのため、日本語の授業では受け身表現に多くの時間を割いて練習していました。ここでは文法の詳細には触れませんが、各言語における受け身表現は、言語学において重要な研究テーマの一つです。探せば、膨大な研究者や論文が見つかる分野でもあります。一概に「英語では受け身を好まない」とは言えませんが、状況に応じて使い分ける必要があることが多いのも事実です。

ただし、日本語を何年も使用してきた今では、受動態に慣れてしまい、英語を翻訳する際に受け身から能動に切り替える意識が薄れてしまうことに気づきました。この翻訳作業を通じて、その点を意識するようになったのは、大きな学びとなりました。学生時代から時間が経ち、専門的な知識が少し薄れてきている中で、仕事を通じて「あの時の先生たちが言っていたことはこういうことだったのか」と感じることが増え、驚きと共に感動を覚えました。

ネイティブスピーカーとの会話や文化・考え方を理解することが重要

言語学習は本当に難しいものです。大学で日本語を学んでいた頃、「文法的には正しいけれど、日本語らしくないね」と先生によく言われたことを思い出します。文としては誤りがないものの、もっと自然な表現があるという指摘でした。同じことは英語の学習でも繰り返し経験しました。文法は正しくても、その言語特有の「語感」が足りないと感じることが多々ありました。

この「語感」や「自然さ」を身につけるには、単に言語のルールを学ぶだけでは不十分です。何年も日本語や英語を使って仕事をしてきた中で、ネイティブスピーカーとの会話や、実際の文脈に触れる機会が非常に重要だと痛感しています。言語は単なるコミュニケーションツールではなく、その背後にある文化や考え方を映し出すものです。そのため、文法が合っているかだけではなく、文化的な背景や文脈を理解することが、自然な表現を使いこなすために不可欠です。

結局のところ、言語学習は一朝一夕で完璧になるものではなく、日々の積み重ねが鍵です。ネイティブスピーカーとの交流を通じて文化や思考の違いを理解し、地道に語感を磨いていく過程が、語学力をさらに一段上のレベルに引き上げてくれます。そして、そうした学びや発見は、言語を使い続ける限り終わることはありません。だからこそ、言語学習は挑戦しがいがあり、また、その先にある達成感も格別なのです。

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