Q. Rocky LinuxはCentOSの後継?(A. ちょっと違います)


岩石です。外に出かけることが少なくなったこの1年余りで自宅などで動画サイトを視聴することが増えた方は多いと思います。私も以前よりよく見るようになりました。動画の制作者側も様子が変わり、特殊なテーマだけでなく日頃の生活や趣味に関するものもとても増えていると感じます。最近はちょっとしたおつまみや料理のサイドメニューの作り方を調べたり、偶然見かけたコンテンツから昔夢中だった趣味を思い出して改めて取り組んでみたりしています。

実は時々プライベートで動画コンテンツ作成のお手伝いをすることがありますが、視聴数を伸ばす取り組みを考えるのは数字として結果が出るのでとても興味深く、時々行う趣味として楽しめてます。専業となるとそうはいかないのでしょうね。

Rocky Linux

2021年6月21日 Rocky Linuxの最初のGeneral Availabilityリリースである Rocky Linux 8.4 が公開されました。

Rocky Linuxは Red Hat Enterprise Linux(以下RHEL)の互換ディストリビューションとして昨年末にプロジェクトが始まりました。現時点でAWS・Google Cloudなど複数のスポンサーによる支援を受けています。

Rocky Linuxがどのような存在になるかについてはプロジェクトのWebに次のように書かれてます。

"Rocky Linux is a community enterprise Operating System designed to be 100% bug-for-bug compatible with Enterprise Linux, now that CentOS has shifted direction."

つまりRHELに対してバグなどを含め100%%の互換性を持つコミュニティ向けエンタープライズOSです。後述のCentOSプロジェクトの戦略変更により生まれたギャップを埋めるため、CentOSプロジェクトの創設者の一人であるGregory Kurtzer氏が立ち上げ、CentOSに変わる次のスタンダードなRHEL互換OSプロジェクトとして期待されています。

名称は同じCentOSプロジェクトの創設者の一人の方のお名前から名付けられたそうです。意図されているかどうかわかりませんが、キャッチーな名称になりましたね(笑

Red Hat Enterprise Linux

商用のLinux ディストリビューションとしてもっともシェアが高いと思われるのがRHELです。

コミュニティLinuxディストリビューションの利用は原則自己責任となりますが、商用Linuxディストリビューションは動作に関する保証やサポートを受けることができます。昔々2000年ぐらいまではRed Hat社は同社が提供するLinux OSとしてRed Hat Linuxをサポートが付属する商用版として販売していました。またまったく同じものがインターネット上に公開され、コミュニティディストリビューションとして無償で利用できました。

現在ほどインターネットが高速ではなかったため、利用者が公開サイトからダウンロードするのは大変でしたが、よくCD-ROMの形態でコンピュータ雑誌の付録として添付されていました。私が初めてRed Hat Linuxを使ったのはRed Hat Linux 4か5のどれかでした(1997,8年ごろ)。Linuxを学ぼうという気持ちだけで、入手方法などよく調べなかったので、Windows OSを購入するのと同じ感覚で商品箱に入った商用版を購入してCD-ROMを入手しました。非IT業でしたので業務でLinuxを使用するわけでもなく、趣味の個人学習目的でした。後に雑誌の付録で入手できることを知ったときにはとても落ち込んだことを覚えています(商用版もそれほど高額では無かったですが)。

その後Red Hat社の方針変更によりコミュニティ版の提供は無くなり、Red Hat Enterprise Linuxとしてエンタープライズ向け商用版のみ提供されるようになりました。

Red Hat Enterprise Linux 互換OSを使いたい

オンプレミスサーバでの利用では使用するデバイスを動作させるため特別なドライバが必要になることが多いですが、デバイス製造メーカーは商用Linuxでの動作を保証するドライバを提供することで、より確実な動作の保証や適切なサポート対応を行うことが可能になります。またソフトウェアベンターにとっても確実に動作する環境を特定することで動作検証やサポート対応が行いやすくなります。そして利用者立場においても想定した動作をより確実にしておきたい場合、OS動作サポートがありハードウェア・ソフトウェアすべてでサポートの条件が整う商用OSを選択することに価値を感じていらっしゃる組織も多いと思います。こういった理由もあり商用OSの存在は重要です。

一方商用OSは有料であり、また継続的なサポートやパッチの提供を受けるためにライセンス料が必要になるのが一般的です。特にRHELはライセンス料が比較的高価で、OSコスト面でLinuxを選択するという考え方については適していません。

Linux OSはオープンソースライセンス順守の都合上、商用プロダクトであってもソースコード公開が義務付けられます。Red Hat社はライセンス順守のため以前よりRHELのソースを公開しています。このため公開されたソースを用いてダウンストリームビルドOS=互換OSの作成が可能です。信頼性が高く、検証環境としての事例も多いRHELの互換OSに対するニーズは高く、Red Hat LinuxがRHELになった当初RHEL互換OSプロジェクトがいくつか始まりました。White Box Linux, Scientific Linuxなどがあり、それらの中でスタンダードなディストリビューションとなったのが CentOS です。

CentOSはRed Hat Familyに

世のほとんどのOSSプロジェクトは有志のボランティアで活動されています。CentOSはRHEL互換として最もスタンダードなものとして認識されていましたが、コミュニティベースで運営されており、統制の難しさなどもあり活動に不安なニュースが流れることもありました。

その後2014年1月にRed Hat社の支援を受けることになります。立場としては独立したまま開発に関する支援を受けることになり「Red Hat ファミリーの一員になった」と発表されました。

[CentOS-announce] CentOS Project joins forces with Red Hat

"With great excitement I'd like to announce that we are joining the Red Hat family. "

Red Hat社としてはOSSプロジェクトの支援というだけでなく、互換OSの存在も必要だと判断されていたのだと感じます。

CentOS プロジェクトの方針変更

昨年2020年12月 CentOSプロジェクトはそれまでのRHELダウンストリームビルドOSの提供という方針を変更し、CentOS StreamとしてRHELアップストリームブランチを提供するプロジェクトになると発表がありました。今まで安定したRHEL互換OSを求めCentOSを採用していた方々にはとても大きな出来事となりました。

CentOS Project shifts focus to CentOS Stream – Blog.CentOS.org

RHELのアップストリームブランチプロジェクトとしてはFedora Linuxプロジェクトがあるのですが、Rocky LinuxはFedora Linux と RHELの間に位置するようです。より近い将来の機能の検証という感じでしょうか。

なお現在サポート中のOSについてはサポート期限が次のようになりました(CentOS 8のみ期限短縮)。

OS バージョン サポート期限
CentOS 6 すでにサポート終了
CentOS 7 2024-06-30
CentOS 8 2021-12-31

次の選択肢

「無料のRHEL互換OSとしてCentOSが利用できなくなるのであれば、お金を出してRHELに移行する...」という判断となる利用者は多くないと思います。他のOSを探すことになりますが、現時点でRHEL互換OSとして有名なものは

そして Rocky Linux になるかと思われます。

どのプロジェクトがスタンダードで安定した(速やかな更新提供や長期の活動など)運営を行われるか今の時点ではわかりませんが、Rocky Linuxは複数の支援企業もあり有力な候補ではないかと思ってます。

実の所私は現在RHELおよび互換OSは個人的にも業務でも使用していません。しかしながらCentOSはオンプレミスの領域では高いシェアなのではと感じています。CentOSの後継ができたとはいえ、移行にはとても面倒な作業が残るのですが、とりあえず今後の方向性について選択肢が増えたのは幸いなのではないでしょうか。

最後に

私自身はOSSコミュニティの中にはいないため直接感じることは無いのですが、身近にいくつかそういったコミュニティを運営する方々の様子を伺うことができます。(RedMicaプロジェクトは当社が運営なので中の人ではあるのですが)

資金であったり、開発リソースであったり課題はコミュニティにより様々ですが、利用される方々からの支援はプロジェクト活動の財産だと思われます。その価値をお感じの方は、今後の安定した運営のためにも寄付や開発参加(バグ報告や多言語対応とかレイアウトデザインなども)・利用事例公開などの貢献活動を検討されてみてはいかがでしょうか。

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