3行で言うと…
オープンソースのプロジェクト管理ツールRedmine 4.0が昨年12月にリリースされてまだおよそ5ヶ月ですが、来月下旬には百数十件の改善・修正が盛り込まれたRedmine 4.1がリリースされる予定です。
Redmine 4.0はどちらかというと細かな改善が多めのやや地味なリリースでした。一方Redmine 4.1は、長年待ち望まれていた機能やすぐに役立つ便利な機能など、多数の新機能を積極的に取り込んだ意欲的なリリースと感じます。
さて、そのRedmine 4.1の新機能について、5月18日に開催された「redmine.tokyo 第16回勉強会」で、多数の新機能の中から特にお勧めの16個の新機能を選んで「Redmine 4.1 新機能選抜総選挙」と題して講演を行いました。しかし、限られた16個の枠には入れられなかったもののぜひ知ってほしいものや、講演後に新たに実装されたものが多数あります。それらの中から10個を選んで紹介します。
まずは5月18日の勉強会で紹介した16個の「選抜入り」新機能を改めて紹介します。
それぞれの機能の詳細は、以下の講演資料でご確認ください。
なお、これら16個の機能のうち、ファーエンドテクノロジーのスタッフが開発したものは6件です。私は「②通知メールのFromに更新者名を表示」を開発しました。
ここからは、前述の「選抜総選挙」で紹介できなかった新機能10個を紹介します。この中には、5月18日の発表以降に追加された重要な機能もいくつか含まれます。
Feature #31418: Stacked bar charts in the issue details report
※ファーエンドテクノロジー開発(担当=高木)
チケットのサマリ画面は、プロジェクト内のチケットを、トラッカーや優先度などごとに未完了・完了の件数を集計して表示するページです。プロジェクトの状況をチケット数で把握するのに役立ちます。この画面で見出しの横に表示されている虫眼鏡アイコンをクリックすると詳細画面に切り替わり、未完了・完了ではなくステータスごとに分類した表を見ることができます。
ただ、たくさんの数字が埋め込まれた表が1つ表示されるだけなので、一目で情報の全体像を把握するのは困難でした。
Redmine 4.1では表とともに、表の内容を表現したグラフが表示されるようになり、より直感的に把握できるようになります。
Patch #31355: Bookmarks and recently used projects for the project jump box
画面右上のプロジェクトセレクタに、ブックマークと「最近使用したプロジェクト」機能が追加されます。一覧表示が「ブックマーク」「最近使用したもの」「他のプロジェクト」の3つに分類されて表示されます。アクセス頻度が高いプロジェクトを上に表示できるので、多数のプロジェクトに参加している場合に特に操作性向上効果が期待できます。
プロジェクトセレクタには自分がメンバーになっているプロジェクトが一覧表示されますが、現行のRedmine 4.0では並び順は文字コード順です。自分がよくアクセスするものが必ずしも上に表示されるわけではないので、必ず上に表示したければプロジェクト名を工夫するなどする必要がありました。
Redmine 4.1では、プロジェクトの「概要」画面でブックマークしておけば一番上に表示されますし、ブックマークしなくても直前にアクセスしたプロジェクト3件が「最近使用したもの」に表示されるので、頻繁に使うプロジェクトに素早くアクセスできるようになります。
なお、「最近使用したもの」に表示される件数は個人設定画面内の「最近使用したプロジェクトの表示件数」で変更できます。
Feature #31225: Show the number of days left until the due date in reminders
※ファーエンドテクノロジー開発(担当=原田)
チケットのリマインダに、期日まであと何日か、または期日から何日遅れか表示されるようになります。
リマインダはメールで間もなく期日が到来するチケットの一覧を電子メールで送ってくれる機能です。Redmine 4.0ではチケットは期日の昇順(期日が近い順)に並んでいますが、個々のチケットの期日は表示されていません。
Redmine 4.1では各チケットごとに「期日まで ○日」または「○日 遅れ」などと表示されるようになり、どのチケットを優先して処理すべきか分かりやすくなります。
Feature #30838: Option to parse HTML part of multipart (HTML) emails first
※ファーエンドテクノロジー開発(担当=原田)
Redmineにはメールからチケットを登録する機能がありますが、HTMLメールからチケットを登録するときに、HTMLパートとテキストパートのどちらを使用するか設定できるようになります(「管理」→「設定」→「受信メール」内の「マルチパート (HTML) メールの優先パート」)。現行の4.0では、常にテキストパートを優先して処理します。
HTMLメールの多くはマルチパートメールと呼ばれる形式で、1つのメールの中にHTMLパートとテキストパートが含まれています。これは、HTMLメールを扱えない環境への配慮です。そういった環境では、テキストパートの内容が表示されます。しかし、最近はHTMLメールを扱えない環境がほとんどなくなったこともあり、テキストパートの内容がHTMLメール対応環境で読むよう促す文だけだったり、HTMLパートから自動生成した非常に読みにくいものだったりすることが増えてきました。
Redmine 4.1で利用できるようになる「マルチパート (HTML) メールの優先パート」の設定を「HTML」にしておけばHTMLパートが優先して処理されるようになるので、使い物にならないテキストパートの内容でチケットが作成されることを防げます。
Feature #14654: Allow a bigger range for the gantt timeline
※ファーエンドテクノロジー開発(担当=原田)
ガントチャート画面には何ヶ月分のガントチャートを表示するのか月数が入力できるようになっています。Redmine 4.0までは25以上の値を指定できませんでしたが、Redmine 4.1では「管理」→「設定」→「チケットトラッキング」内の「ガントチャート最大表示月数」で上限を引き上げることができるようになります。
Feature #30975: New My page block: Updated issues
※ファーエンドテクノロジー開発(担当=原田)
マイページに新しいブロック「更新したチケット」が追加されます。このブロックには、自分が一度でも更新したことがあるチケット(履歴欄に更新者として名前が出ているチケット)が、更新日が新しいものから順に10件表示されます。
自分が最近かかわったチケットとその状態を簡単に把握できます。
Patch #28510: Show issue assignee gravatar in roadmap and version page
Gravatarアイコンの使用がON(「管理」→「設定」→「表示」内の「Gravatarのアイコンを使用する」)のとき、ロードマップ画面とバージョン詳細のチケット一覧に、それぞれのチケットの現在の担当者のアイコンが表示されるようになりました。
ロードマップ画面だけで、進行中のチケットを誰が担当しているのか分かるようになります。
Feature #31294: Add "robohash" to "Default Gravatar image" options
ユーザーがGravatarにアイコンを登録していないときに表示されるデフォルトGravatarアイコンとして、新たに Robohash が選択できるようになりました。
デフォルトのGravatarアイコンの中で個人的にお勧めは Identicion でしたが、Redmine 4.1がリリースされたら Robohash もよいと思いました。Identicion は抽象的な模様なので癖がなくさまざまな組織で使いやすく、Robohash は少しカジュアルな雰囲気になりますがより個人の識別がしやすくてよいと思います。
Feature #9634: Show locked badge for locked wiki pages
Wikiページのロックはページの編集を禁止する機能です。Redmine 4.1ではロックされているページの場合はフッタに「ロック」中と表示されるようになります。
これまでは明示的な表示がなかったため、利用者にはページの編集ができない理由が分かりませんでした。
Feature #31328: Change the "+" button in the issues filter to a larger one
※ファーエンドテクノロジー開発(担当=遠藤)
チケットのフィルタでは、それぞれの項目に対して複数の値を指定できます。複数項目選択に切り替える場合は値の横の「+」をクリックしますが、Redmine 4.0はそのボタンが非常に小さいためクリックしにくく、そもそも「+」であることを識別するのも困難でした。
Redmine 4.1では大きく識別しやすいものに変更されます。
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